ヒトラーが進化論をもとにユダヤ人を劣等民族と決め付け根絶やしにしようとしたとして進化論を批判する人がいます。つまり進化論が危険な思想であると言いたいのでしょうが実際はどうでしょうか。
ダーウィン進化論には自然淘汰といって環境への適応度が低い個体はそうでない個体より子孫を残せないという考えがあります。その考えに従えばユダヤ人は滅びている筈ではないか、だから進化論は間違いなのだ、という主張がなされるわけですが、ユダヤ人が他の民族に比べて遺伝的な変異が見られ尚且つそれにより環境への適応度に差があるという考えは(少なくとも僕は)耳にしたことはありません。
居住地域の緯度が低いほど肌の色は濃くなるという傾向があるようですが、これは環境への適応度が高まった結果であって、肌の色が白に近い方が優れているということにはなりません。ところがヒトラーはまさにそのようなことを主張したわけで、北方民族(アーリア人)優越説なるものをぶち上げユダヤ人等を迫害したわけです。
その割には東洋の黄色いサルの国やアフリカに近い国と軍事同盟を結ぶということをしていたわけですが。
そもそもユダヤ人と何でしょうか。旧約聖書創世記の記述に従えば「ヤコブの子孫」ということになります。しかし現在ではユダヤ人が本当にヤコブの子孫であるかどうかは確かめようがありません。
現代のユダヤ人は「ユダヤ教の信者」と定義されているようです。つまり人種と違い遺伝的な差で定義されているわけではないので、ユダヤ人迫害は進化論的にもナンセンスということになります。
揚げ足を取られないうちに言っておきますが、人種差別を肯定しているわけではありません。念の為。
冒頭進化論が危険な思想であるという考えを紹介しましたが、本当にそうなる可能性は否定できません。中立説で有名な木村資生は著書『生物進化を考える』(岩波文庫)の第九章「進化遺伝学的世界観」で優生学に関して肯定的な見解を述べています。が、この文章は他の進化論者からも頗る評判が悪いです。
では創造論には優生学的な考えはないのかと言うとどうやらそうでもないようです。
大事なことは理論の真偽とそこから派生する思想や技術の善悪は別次元の問題だということです。核兵器を作ったから相対論が間違いということがないように、優生学を産み出したから進化論が間違いということにはなりません。
科学は善悪の区別についてヒントにはなっても答えを与えてはくれません。ユダヤ人迫害の是非について進化論は何も語ってはくれません。クローン人間についても可能かどうかはわかっても許されるかどうかまでは何も教えてはくれません。だらかこそ科学とそうでないものは明確に区別されなければならないのです。
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